税務書類の記載方法を税理士が解説!3(消費税課税事業者選択届出書・消費税簡易課税制度選択届出書)
2023/06/16
はじめに
前回から、法人設立や開業時に必要な書類の概要や、各種書類の記載の仕方について解説しています。
今回は「消費税課税事業者選択届出書」と「消費税簡易課税制度選択届出書」の記載方法について解説します。なお、いずれも法人と個人事業主で同様の書式となるため、法人の場合と個人事業主の場合の違いについても解説します。
消費税課税事業者選択届出書
①基本情報を記載します。
日付:
税務署に持参する日、または郵送する日を記載します。
税務署長殿:
(法人の場合)会社を設立した本店所在地を管轄する税務署を記載します。
(個人事業主の場合)開業届に記載した納税地の住所を管轄する税務署を記載します。
納税地:
(法人の場合)会社を設立した本店所在地及び電話番号を記載します。
(個人事業主の場合)開業届に記載した納税地の住所及び電話番号を記載します。
住所又は居所:
納税地と主たる事務所の所在地が異なる場合には当該住所を記載します。納税地と同様の場合には「同上」で大丈夫です。
名称(屋号)
(法人の場合)会社名を記載します。
(個人事業主の場合)屋号があれば屋号を記載します(なければ空欄で大丈夫です)。
個人番号又は法人番号:
(法人の場合)法人番号通知書の番号を記載します。
(個人事業主の場合)マイナンバーの番号を記載します。
氏名:
代表者の氏名を記載します。
代表者住所:
法人の場合のみ、法人の代表者の住所を記載します。
②課税事業者となる期間について記載する欄です。
適用開始課税期間:
課税事業者となる課税期間の初日及び末日を記載します。例えば個人事業主が開業時(令和5年6月10日)から課税事業者となる場合には、「自 令和5年6月10日 至 令和5年12月31日」となります。
上記期間の基準期間:
基準期間とは適用開始課税期間の2年前の課税期間を指します。基準期間がない場合は、記載不要です。
左記期間の総売上高:
基準期間に国内において行なった資産の譲渡の対価の額の合計額(総売上高(税込))を記載します。基準期間がない場合は、記載不要です。
左記期間の課税売上高:
総売上高のうち、消費税の課税対象となる取引の売上高(税込)を記載します。基準期間がない場合は、記載不要です。
③その他の事業の概要について記載する欄です。
生年月日(個人)又は設立年月日(法人):
(法人の場合)設立年月日を記載します。また事業年度には設立第1期目であっても、通常時の事業年度を記載します。
(個人事業主の場合)生年月日を記載します。事業年度及び資本金は記載不要です。
事業内容:
設立届や開業届に記載した事業内容を記載します。
届出区分:
該当する項目にチェックを入れます。
参考事項:
その他参考となる事項等があれば記載します。
税理士署名:
税理士の関与がなければ空欄で大丈夫です。
消費税簡易課税制度選択届出書
①基本情報を記載します。
日付:
税務署に持参する日、または郵送する日を記載します。
税務署長殿:
(法人の場合)会社を設立した本店所在地を管轄する税務署を記載します。
(個人事業主の場合)開業届に記載した納税地の住所を管轄する税務署を記載します。
納税地:
(法人の場合)会社を設立した本店所在地及び電話番号を記載します。
(個人事業主の場合)開業届に記載した納税地の住所及び電話番号を記載します。
氏名又は名称及び代表者氏名:
(法人の場合)会社名と代表者氏名を記載します。
(個人事業主の場合)屋号があれば屋号と事業主の氏名を記載します(なければ氏名だけで大丈夫です)。
法人番号:
(法人の場合)法人番号通知書の番号を記載します。
(個人事業主の場合)記載不要です。
②適用開始時期等について記載する欄です。
届出欄の直下:
「下記のとおり消費税法大37条第1項に規定する簡易課税制度の適用を受けたいので届出します。」の欄は、インボイスの登録事業者になるのと同時に簡易課税を適用する場合にチェックを入れます。
適用開始課税期間:
簡易課税事業者となりたい課税期間の事業年度を記載します。
①の基準期間:
適用開始課税期間の2年前の課税期間を指します。基準期間がない場合は、記載不要です。
②の課税売上高:
基準期間の売上高のうち、消費税の課税対象となる売上高を記載します。基準期間がない場合は、記載不要です。なお、免税事業者の場合には税込で、課税事業者の場合には税抜で記載します。
③その他の事業の概要について記載する欄です。
事業内容等:
設立届や開業届に記載した事業内容を記載します。
(事業区分):
自社の事業が簡易課税制度においてどの分類に該当するかを記載します。簡易課税制度において定められている業種区分の詳細は以下の記事を参考にしてください。
(【消費税】消費税の簡易課税制度を税理士が解説!)
提出要件の確認:
以下に該当する場合を除き、一番上の「いいえ」にチェックを入れるのみです。
イ「課税事業者選択届出書」を提出していた場合:その適用開始日を記載します。 また、課税事業者となった課税期間の初日から2年を経過する日までの間に開始した各課税期間中に調整対象固定資産の取得が無い場合は、「はい」にチェックします。 ※課税事業者となった課税期間の初日から2年を経過する日までの間に開始した各課税期間中に調整対象固定資産(建物及びその附属設備、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品などで、税抜価額が100万円以上のもの)を取得し、原則課税を適用したときは、その課税期間の初日から原則として3年の課税期間は、簡易課税制度を選択することができません。 |
ロ「設立1期目もしくは2期目の期首において資本金1,000万円以上である法人」や「特定新規設立法人」に該当する場合:設立年月日を記載します。また、設立1期目もしくは2期目に調整対象固定資産を取得していなければ、「はい」にチェックします。 ※「特定新規設立法人」とは①株主から直接または間接に50%超の株式等の出資を受けているなど、実質的にその株主に支配されている場合で、②①の株主またはその株主と一定の特殊な関係にある法人のうち、いずれかの基準期間に相当する期間における課税売上高が5億円超である場合を指します。 ※基準期間がない事業年度中に調整対象固定資産を購入した場合は、購入した事業年度の初日から原則として3年の課税期間は、簡易課税制度を選択することができません。 |
ハA「高額特定資産(税抜価額が1,000万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産)を仕入れ等を行なった場合」:仕入れ等を行なった日の属する課税期間の初日を記載します。また、適用開始課税期間が高額特定資産の仕入れ等を行なった課税期間の初日から3年後の課税期間を過ぎている場合、「はい」にチェックします。 ※高額特定資産を購入した場合、その高額特定資産を購入した日の属する課税期間の初日から原則として3年の課税期間は、簡易課税制度を選択することができません。 ハB「建設等に要した仕入れ等の支払い対価の額の累計額が1,000万円を超えた場合」:超えた日の属する課税期間の初日及び建設等が完了した課税期間の初日を記載します。また、適用開始課税期間が建設等が完了した課税期間の初日の属する課税期間の初日から3年後の課税期間を過ぎている場合、「はい」にチェックします。 ※高額特定資産を建設した場合は、建設等が完了した日の属する課税期間の初日から原則として3年の課税期間は、簡易課税制度を選択することができません。 |
参考事項:
その他参考となる事項等があれば記載します。
税理士署名:
税理士の関与がなければ空欄で大丈夫です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
いずれも特殊なケースに該当しなければ、記入が難しい項目はありませんが、作成にあたって不安がある場合には専門家に依頼することをお勧めします。
磯会計センターでは、会社設立の手続きから各種申請書の作成まで、一からフルサポートしております。茨城県で開業や法人設立を検討している方は是非一度ご相談ください。
(※当該記事は投稿時点の法令等に基づいて掲載しております。)
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