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【会計】帳簿や請求書等の書類の保存期間を税理士が解説!

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【会計】帳簿や請求書等の書類の保存期間を税理士が解説!

【会計】帳簿や請求書等の書類の保存期間を税理士が解説!

2023/06/02

はじめに

 日々の取引で扱う帳簿や請求書などに関しては、法律で保存期間が定められていることはご存知の方が多いと思います。しかし、どの書類が何年間保存できていれば良いのかについて、曖昧になっていたり、誤って覚えてしまっている方も多く、「実は正しく保存できていなかった!」と後から発覚するケースも少なくありません。

 実は帳簿書類等の保存期間は、①法人なのか個人事業主なのか(事業形態)②要件の根拠が法人税なのか所得税なのか消費税なのか(法律)③個人事業主であれば青色申告なのか白色申告なのか(申告方法)、この3つの要素によってそれぞれ異なります。よってご自身がどの要件に当てはまるのか、その要件の中で最長となる保存期間は何年なのかを判断する必要があります。今回はそんな書類の保存期間について、パターンごとに整理して解説していこうと思います。最近のインボイス制度等の法律改正も踏まえて解説しますので、ぜひ本記事を参考にしていただければと思います。

 

パターン別による保存期間の違い

A:法人の場合(法人税法)

 法人税法において、『法人は、帳簿を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成または受領した書類を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存しなければならない。』とされています。

 なお、ここでいう「帳簿」には、例えば総勘定元帳仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などがあり、「書類」には、例えば棚卸表、貸借対照表損益計算書、注文書、契約書、領収書などがあります。

 また、青色申告書を提出した事業年度で欠損金額が生じた事業年度は、7年間ではなく10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間)保存義務があります。

 

B:個人事業主で青色申告の場合(所得税法)

 所得税法において、青色申告者は、原則として正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳を行うこととされており、帳簿書類の保存期間は下記のとおりとなっています。

保存が必要なもの 保存期間
帳簿 仕訳帳総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など 7年
書類 決算関係書類 損益計算書貸借対照表、棚卸表など 7年
現金預金取引等関係書類 領収証、小切手控、預金通帳、借用証など

7年(※)

その他の書類

取引に関して作成し、又は受領した上記以外の書類(請求書見積書契約書

納品書、送り状など)

5年

 ※前々年分所得が300万円以下の方は、5年

 ポイントとしては、帳簿と書類の中でも保存期間が違うということです。基本的には法人の場合と同様7年間ですが、請求書等の根拠資料に関しては5年と短く規定されています。

 

C:個人事業主で白色申告の場合(所得税法)

 所得税法において、白色申告者も帳簿を備え付けて収入金額や必要経費に関する事項を記帳するとともに、帳簿や書類を保存する必要があります。帳簿書類の保存期間は下記のとおりとなっています。

保存が必要なもの 保存期間
帳簿 収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿) 7年
業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿)

5年

書類 決算に関して作成した棚卸表その他の書類 5年
業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類

 ポイントとしては、青色申告者と違い、書類に関してはいずれも5年と短く規定されていることです。帳簿についても、任意帳簿であれば保存期間は5年です。

 

D:消費税法の場合

 消費税法においては、『課税事業者は、帳簿を備え付けて、これに取引を行った年月日、内容、金額、相手方の氏名または名称などの必要事項を整然とはっきり記載し、この帳簿の閉鎖の日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間、事業者の納税地またはその事業に係る事務所等で保存しなければならず、また、課税事業者(簡易課税を選択した事業者を除きます。)が仕入税額控除および売上対価の返還等の適用を受けようとする場合には、一定の帳簿(仕入税額控除の場合は帳簿および請求書等)の保存が必要である』とされています。

 

各パターンにおける採用する保存期間のまとめ

・法人:A

・個人事業者(青色申告)かつ消費税本則課税事業者:D(仕入税額控除に関係のない書類はB)

・個人事業者(青色申告)かつ消費税簡易課税事業者:B

・個人事業者(青色申告)かつ消費税免税事業者:B

・個人事業者(白色申告)かつ消費税本則課税事業者:D(仕入税額控除に関係のない書類はC)

・個人事業者(白色申告)かつ消費税簡易課税事業者:帳簿はD、書類はC

・個人事業者(青色申告)かつ消費税免税事業者:C

 

インボイス制度による適格請求書の保存期間

 令和5年10月1日から導入されるインボイス制度(適格請求書等保存制度)においては、発行した適格請求書の控えの保存が義務となります。保存の必要な期間は7年間となっています。

 

申告書の控えの保存

 確定申告書や各種税務申告書の控えについては、具体的な保存期間が規定されていませんが、申告書の控えは、住宅ローンや自動車ローン、奨学金の申請など様々な場面で提出を求められるため、保存期間がないからといってすぐに廃棄するのではなく、少なくとも上記で説明した帳簿と同様の保存を行うことをお勧めします。もちろん保管のスペースが取れるのであれば、永久に保存するというのもよいでしょう。

 

まとめ

 いかがだったでしょうか。

 帳簿書類の保管に関しては、自分の事業形態等によって変わってくるため、自分の事業がどのパターンに該当するのか、一度確認するようにしましょう。また、長期間にわたって保存することとなりますが、税務調査の際には過去の帳簿書類の閲覧を求められることから、必要な帳簿書類がすぐに判別ができるように社内の管理を徹底することが望ましいです。

 磯会計センターでは、茨城でお困りの中小事業主様や個人事業主様に、会計・税務から補助金・融資など幅広くサポートをしておりますので、お悩み事がございましたらぜひお気軽にご相談ください。

 

(本記事は、掲載時点の税制等に基づき記載しております)

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