【補助金】ものづくり補助金の事業計画の書き方を税理士が解説!
2023/05/26
はじめに
「ものづくり補助金」とは、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者 保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り 組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備 投資等を支援するものです。
採択にあたって一番重要になる事業計画書ですが、ポイントを押さえないまま作成したとしても採択の確率は上がりません。今回はその事業計画書について、採択されるために重要なポイントを解説していきます。
(ものづくり補助金の概要を知りたい方は『【補助金】2023年度のものづくり補助金の概要を税理士が解説!』を参考にしてください。)
審査項目と加点項目
まず初めに、審査項目を意識しながら作成することが必要不可欠です。審査項目は年度によって変わることがありますが、主に以下の項目となっています。(下記にて紹介する項目の他、特定の枠のみに存在する審査項目もあります。)
A.技術面
①取組内容は新製品や新サービスの革新的な開発となっているか。
②開発における課題が明確になっているとともに、目標に対する達成度が明確かどうか。
③課題の解決方法が明確かつ妥当であり、優位性が見込まれるか。
④技術的能力が備わっているか。
B.事業化面
①社内外の人材や最近の財務状況等から、事業を適切に遂行できるか。
金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか。
②市場ニーズ及び市場規模が明確か。
③価格的・性能的に優位性や収益性を有し、事業化に至るまでのスケジュールが妥当か。
④費用対効果が高いか。
C.政策面
①地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等や雇用に対する経済的波
及効果を及ぼすことが期待できるか。
②ニッチ分野において差別化を行い、トップの地位を築く潜在性を有しているか。
③単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組むことにより、高い生産性向上が期待できるか。
④先端的なデジタル技術の活用、環境に配慮した事業の実施等を通じて、我が国のイノベーションを牽引し得るか。
⑤事業環境の変化に対応する投資内容であるか。
また、以下の加点項目に該当する場合は、根拠書類を提出することでさらに採択の可能性が高まります。(加点項目は公募回によって異なるため、毎回確認する必要があります。)
A.成長性加点
有効な期間の経営革新計画の承認を取得した事業者に対する加点
B.政策加点
創業・第二創業後間もない事業者やパートナーシップ構築宣言を行っている事業者など、計9項目のどれかに該当する事業者に対する加点
C.災害等加点
有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した事業者に対する加点
D.賃上げ加点等
給与支給総額と事業場内最低賃金をそれぞれ一定率増加させる計画を有し、事務局に誓約書を提出している事業者に対する加点
事業計画全体を通して重要なポイント
①写真や図、表を使う
審査を行う審査員は、申請者とは違いその分野に精通していません。そのため、審査員が理解しやすいように写真や図、表をたくさん使いましょう。現状の生産体制の様子や導入する設備等に写真を用いて、また、SWOT分析や売上構成、課題の解決策などで表を用いることによって、「誰が見ても理解できる計画、一目見て理解できる計画」を作成することが重要です。
②具体的な目標数値を記載する
ものづくり補助金では「給与支給総額+ 1.5%以上/年」「事業場内最低賃金が地域別最低賃金+ 30円」「付加価値額+ 3%以上/年」の基本要件を達成する必要があります。
当該基本要件が達成できるかどうかを客観的に示すために、5年の売上見込や給与支給総額の推移はもちろん、設備導入後の改善効果なども具体的な数値を用いて記載することによって、審査員がイメージしやすい事業計画を作成するように心がけましょう。
③補助金の必要性を明確にする
ただ新しい設備を導入するため補助金を申請するのでは採択はされません。自社が抱える課題とその解決方法を、審査員に分かるよう説明しましょう。品質面、生産性面、納期面、コロナ感染リスクの面、従業員の労働環境の面など、自社の現状の課題が、補助金を使って行う補助事業によって改善されることの関連性を明確にすることが大切です。
各項目に対する記載のポイント
A.補助事業の具体的取組内容
①本事業の背景
まずは、自社の概要を記載しましょう。会社の経歴から始まり、主な事業内容について説明し、主要な取引先ごとの売上構成などを記載しましょう。主力製品などは写真も使いながら説明できると良いです。さらに自社の強みも必ず記載するようにしましょう。
次に今回の補助金を使った事業を行うことになる社会的背景やニーズを記載しましょう。需要に対応する自社の課題が明確になっていることで、補助金の必要性を効果的に主張できます。併せてSWTO分析ができると一覧性が出るため、審査員に好印象を与えることにも繋がります。
次は自社の課題について詳細に記載しましょう。次に記載する本補助金の取組内容で、この課題が解決できることを念頭に、できる限り具体的に記載できるようにしましょう。
②本補助金の取組内容
まずは補助事業の概要を説明するとともに、課題の解決方法を要約しましょう。(1)表などを使って項目ごとに課題をまとめる→(2)それらの具体的な解決方法を記載する といった順番が綺麗かと思います。具体的な解決方法によってどのくらい効果が出るのかについては、抽象的な表現ではなく、数値などを用いて分かりやすく説明するのが良いでしょう。
また、例えば製造業であれば、課題解決を行う工程について具体的に図などを用いて説明していく必要があります。工程に関するフロー図などを用いて審査員の人がイメージしやすい記載を心がけましょう。
③本補助事業の具体的な数値目標と達成度の判断基準
審査項目でも説明した通り、達成度についても具体的な数値基準を用いて記載する必要があります。例えば『現状の作業時間が〇〇分であり、達成目標としては△△分とする』といった記載が考えられます。また、目標の数値を測定する際にどのような手法を取るのかも併せて記載します。
④本補助事業の優位性
ただ単純に効果が期待できるだけではなく、競合他社と比較してどういった点で優位性があるかどうかを、品質面や価格面などの項目ごとに記載するようにしましょう。
⑤工程ごとのスケジュール
機械の導入から生産・効果測定など、どのタイミングでどのようなことを実施するのかについての短期的なスケジュールを明確にしましょう。
⑥「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」との関係性等
補助事業が「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」のどの項目に合致するのかを記載します。
⑦本補助事業実施のための体制等
自社の現状の人材面や財務状況から、補助事業をどの人員がどのように活動するのか、どういった社外との連携や資金調達を行う必要があるのか、本事業に係る設備等の費用がいくらかを記載します。
B.将来の展望
①市場の動向と展望
補助事業と関連する市場の今後の展望を記載しましょう。
②本補助事業の展望・効果
補助事業の成果が、価格的、性能的に優位性や収益性を有すると見込まれる理由や、審査項目上の政策面での優位性を記載します。できるだけ多くの制作点に対して、評価が記載できるように、事前に制作点の項目を確認しておくようにしましょう。
また、補助事業終了後5年間の事業化に至るまでのスケジュールも記載します。製造工程の確立から、営業への展開など、どのタイミングで何を実施するか、長期的な視点でも検討できるようにしましょう。
C.会社全体の事業計画
会社全体の5年間の事業計画や、その事業計画の算出根拠となる各勘定科目の増減に対する考え方を記載します。
まとめ
いかがだったでしょうか。
上記にてひと通りのポイントをお伝えしましたが、あくまで記載方法の一つであり、業種などによって効果的な書き方はさまざまなため、専門家と相談の上作成することをおすすめします。また、上記はあくまで効果的に書き進めるためのポイントであり、一番重要なのは、審査項目を踏まえた中身の部分です。補助事業に各申請があることを事業者自身が工夫して作成しましょう。
磯会計センターでは、ものづくり補助金の申請から、採択後までトータルサポートを実施しています。茨城でお困りの中小企業・小規模事業者の方は、ぜひ一度ご相談ください。
(本記事は掲載時点の税制等に基づいて掲載しています。)
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