【税制改正】インボイスの令和5年税制改正を税理士が解説!その2
2023/05/01
はじめに
インボイス制度の開始から残り約5ヶ月となりました。この記事を読んでくださっている方の中には、まだインボイスの登録事業者になるか否かについて悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
当記事では令和5年度税制改正によるインボイス制度の変更点や、新たな経過措置を説明いたします。当該改正によって、これまで免税事業者だった事業者の負担が軽減されるだけでなく、もともと課税事業者だった事業者にとってもメリットのある情報が盛り込まれていますので、是非参考にしてみてください。
(本記事は前回の「【税制改正】インボイスの令和5年税制改正を税理士が解説!その1」の続きとなりますので、是非そちらもご覧ください)
改正4:少額取引(1万円未満)についてのインボイスが不要に
従来のインボイス制度では、全ての取引についてインボイスが必要であり、少額な取引全てについて、仕入れ税額控除の要件を満たしているかの確認が必要だったため、かなりの事務作業が必要と考えられていました。
今回の改正により、基準期間のの課税売上高が1億円以下、あるいは特定期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者であれば、1万円未満の課税仕入れについては、インボイスがなくとも一定の事項を記載した帳簿の保存をするだけで、仕入税額控除が可能となりました。
注意点としては、当該改正は令和5年10月1日から令和11年9月30日までに行う課税仕入れを対象としている経過措置であるということです。よって、令和11年10月1日からは、原則全ての課税仕入れについて、インボイスが必要となります。
改正5:1万円未満の返品や値引きについて返還インボイスの交付が不要に
従来は、令和5年10月1日以降、返品や値引き、割戻しを実施する際には「適格返還請求書」を取引先に交付しなければならないことになっていました。このため、例えば売手が振込手数料を負担するとした場合に売上値引きとして処理する場合でも、「適格返還請求書」を発行する必要がありました。
今回の改正によって、返品や値引き、割戻しなどに係る税込み価格が1万円未満である場合には、「適格返還請求書」の交付は不要となりました。なお、この改正は経過措置ではなく、さらに事業規模の要件もないため、全ての事業者に影響のある改正と言えます。
注意点としては、この改正は返品や値引き、割戻しを消費税の申告上、「対価の返還等に係る消費税額」に含める場合の措置となります。つまり、上記の例の振込手数料に関して、売手が「支払手数料」などの科目を用いて課税仕入れとしている場合は当該改正は適用されず、当記事における改正4で判断することとなります。なお、「支払手数料」の科目を用いたとしても、「対価の返還等に係る消費税額」に含めて申告する場合には当該改正が適用できると解されています。
改正6:IT導入補助金の適用緩和
当該改正は直接インボイス制度とは関係はありませんが、中小事業主はインボイス制度への対応を見据え、会計ソフト等の導入を検討しているかと思います。IT導入補助金は中小企業等の設備投資・販路開拓・IT導入を支援する生産性向上補助金であり、その中の「デジタル化基盤導入類型」は、会計・受発注・決済・ECの機能を1種類以上備えられているソフトウエアの購入費で最高350万円の補助が行われ、最大2年分のクラウド利用料、導入関連費、ハードウエア購入費が対象経費となります。
従来は会計・受発注・決済・ECソフトの補助額には下限が設けられていましたが、改正により下限が撤廃されたため、安価な会計ソフトも対象になりました。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は中小事業者全てに影響のある改正点を解説しました。
磯会計センターでは、インボイスの登録申請や小規模事業者持続か補助金の申請をサポートしています。茨城でインボイスを検討されている事業者様は、是非一度ご相談ください。
(本記事は、掲載時点の税制等に基づき記載しております。)
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