【税制改正】インボイスの令和5年税制改正を税理士が解説!その1
2023/04/28
はじめに
インボイス制度の開始から残り約5ヶ月となりました。この記事を読んでくださっている方の中には、まだインボイスの登録事業者になるか否かについて悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
当記事では令和5年度税制改正によるインボイス制度の変更点や、新たな経過措置を説明いたします。当該改正によって、これまで免税事業者だった事業者の負担が軽減されるだけでなく、もともと課税事業者だった事業者にとってもメリットのある情報が盛り込まれていますので、是非参考にしてみてください。
改正1:消費税の2割特例
従来、課税事業者は本則課税か簡易課税のどちらかの方法で消費税を納めることとなっています。インボイス制度において大きな影響を受けているフリーランスの方であれば、サービス業で簡易課税制度を採用したとしても、売上げに係る消費税額に、50%のみなし仕入率を乗じて算出した金額を仕入れに係る消費税額として、売上げに係る消費税額から控除することになります。つまり、売上げに係る消費税額の5割を負担することになります。本則課税の方が有利だとしても、その場合は仕入れ税額控除のために、インボイス毎の正確な記帳や消費税の計算が必要になります。
今回の改正では、免税事業者がインボイス制度をきっかけにインボイス発行事業者になった場合に、仕入税額控除の金額を特別控除税額(課税標準である金額の合計額 に対する消費税額から売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額の合計額を控除した残額の100分の80に相当する金額)とすることができることとなりました。つまり売上げに係る消費税額の2割を納付すれば良いこととなります。
この特例により、所得税・法人税の申告で必要となる売上を税率毎に把握するだけで、簡単に消費税の申告書が作成できるようになるため、事務手続きも簡素化できます。また、簡易課税制度のような事前の届出も不要で、申告時に適用するかどうかの選択が可能となります。
※国税庁HPより抜粋
(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/202304/01.htm)
注意していただきたいのは、1点目はこの特例は令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間までの経過措置であるということです。この期間以降は通常通り、本速課税か簡易課税のどちらかを選択することとなります。
2点目は、対象となる事業者が、「インボイス制度を機に、免税事業者からインボイス発行事業者となった場合」のみということです。つまりもともと消費税の課税事業者である場合はこの特例は採用できません。その他にもこの特例を採用できない場合がありますので、詳細については専門家に相談することをお勧めします。
改正2:小規模事業者持続化補助金が上乗せ
「小規模事業者持続化補助金」とは、小規模事業者が経営計画を作成して取り組む販路開拓を支援する補助金で、設備の導入やHPの制作、開発費などの費用に対して50~200万円(補助率は支出した経費の2/3以内(※一部の類型は3/4以内))の補助が行われるものですが、この小規模事業者持続化補助金について、免税事業者がインボイス発行事業者に登録した場合、補助上限額が一律50万円加算されることとなりました。インボイス導入によって、会計システムや請求書の発行について設備導入が必要となる事業者でも利用できるため、免税事業者の方の初期投資の負担を減らせる改正だと考えます。
改正3:登録申請登録申請手続きの柔軟化
従来、インボイス制度が開始される令和5年10月1日から登録を受けるためには、原則として令和5年3月末までに申請書を提出しなければならなかったのですが、4月以降であっても申請書に3月末までの申請が「困難な事情」を記載することで、10月1日に登録したものとみなすとされています。
改正によって、当該「困難な事情」を記載しなくても、4月以降に申請することが可能になりました。これによって、これまでインボイスについて検討が漏れていた事業者や、免税事業者が4月以降インボイス登録事業者になる場合などでも、申請手続きが簡単になりました。
なお、10月1日以降に登録したい場合には、申請書に「提出日から15日以後の日付」の登録希望日を記載することによって、当該登録希望日に登録を受けることができます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は主に、免税事業者にとって影響のある改正を中心に解説いたしました。次回は中小事業主の全てに影響のある改正点を解説しますので、こちらも併せてご確認ください。
磯会計センターでは、インボイスの登録申請や小規模事業者持続か補助金の申請をサポートしています。茨城でインボイスを検討されている事業者様は、是非一度ご相談ください。
(本記事は、掲載時点の税制等に基づき記載しております。)
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