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【税制改正】相続税の概要と令和5年税制改正を税理士が解説!

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【税制改正】相続時精算課税の令和5年税制改正を税理士が解説!

【税制改正】相続時精算課税の令和5年税制改正を税理士が解説!

2023/04/24

はじめに

 2022年12月23日に「令和5年度税制改正大綱」が閣議決定されました。その中でも一つの目玉となるのが「相続時精算課税制度」の改正です。これまで相続時精算課税制度は

・相続時に贈与した財産が相続財産として加算されるため、基礎控除が使えない

・相続時精算課税制度の届出をした間柄の贈与では、二度と暦年課税制度を使えない

・少額の贈与でも、贈与税の申告をしなくてはならない

といったデメリットからあまり浸透していませんでしたが、今回の改正により、暦年贈与よりもメリットが大きくなる場合が出てきます。今回はその相続時精算課税制度の改正を中心に解説します。

 

暦年贈与とは

 1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与額が基礎控除額(110万円)以下である場合、贈与税は発生しません。この贈与の方法のことを「暦年贈与」と呼びます。

 相続税の税率は相続財産の金額が大きいほど高くなるため、生前に少しずつ財産を受け渡すことで、相続が発生した場合に相続人の税負担を軽減できることから、当該暦年贈与は相続税対策として広く用いられています。

 また、暦年贈与は以下の4つの特例制度と併用ができます。

・贈与税の配偶者控除
婚姻期間20年以上の夫婦間で、住宅購入費用等などの贈与をしたときに、最大2,000万円まで控除される制度

・教育資金の一括贈与
30歳未満の子や孫が、直系尊属から教育資金の贈与を受けたときに、1,500万円まで非課税となる制度

・住宅取得等資金の非課税制度
直系尊属から住宅取得等の資金の贈与を受けたときに、一定の金額が非課税となる制度

・結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度
18歳以上50歳未満の子や孫が、直系尊属からから結婚・子育て資金の贈与を受けたときに、1,000万円まで非課税となる制度

 

相続時精算課税制度とは

 相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫などに対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に贈与税の申告書とは別に一定の書類を添付して提出する必要があります。

 相続時精算課税制度を選択した場合、2,500万円までの贈与については贈与税がかからないものの、2,500万円を超えて贈与した金額に対して一律20%の贈与税がかかります。また、贈与者の相続が発生した際に、過去に贈与を受けた贈与財産が相続財産に加算されて相続税を計算することとなります。

 これまでは、相続時精算課税制度は課税の繰延効果はあるものの、暦年贈与のような基礎控除もなく、相続時精算課税制度を選択した年以降の贈与については、たとえ110万円以下の贈与であっても申告が必要であったことなどから、あまり利用されてきませんでした。

 

令和5年度税制改正のポイント

 

1. 相続時精算課税制度に基礎控除が創設

 上述したように、現行制度においては、相続時精算課税制度を選択した年以降の贈与財産の全額を相続財産に加算することとなっています。

 しかし今回の改正によって、年間110万円までの基礎控除額が新設されました。これにより2024年1月1日以降、相続時精算課税制度を選択した年以降の贈与財産のうち、年間110万円までであれば贈与税だけでなく、相続時の相続財産からも控除できるため相続税もかからないこととなります。また、年間110万円までの贈与であれば贈与税の申告も不要になります。

 

2. 被災等により被害を受けた土地建物の課税価格の見直し

 現行制度においては、贈与財産の評価は相続時においても贈与時点の時価で固定されるため、仮に被災等により土地建物が被害を受け、時価が著しく下落したとしても、高い時価によって相続財産が評価され課税されてしまいます。

 今回の改正によって、土地建物が災害により一定以上の被害を受けた場合に相続時にその課税価格を再計算する見直しを行うことができるようになりました。

 

3. 生前贈与加算の延長

 現行制度においては、暦年贈与を利用した場合であっても、相続開始前3年以内に行った贈与財産は、相続財産に加算した上で相続税を計算することとなっています。

 今回の改正により、加算期間が7年間に延長されることとなり、実質的に暦年贈与の効果が薄くなることとなりました。(しかし延長された4年間の贈与のうち総額100万円までは相続財産に加算しないこととされています。)。なお、2024年1月1日以降に贈与する財産について適用されるため、2026年12月以前に相続が開始した場合は加算期間は3年であり改正の影響を受けませんが、2027年1月以降、加算期間は延長され、2031年1月以降、加算期間が7年となります。

 

財務省​​​​​​パンフレット「令和5年度税制改正(案)のポイント」より抜粋

https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeiseian23.html

 

まとめ

 いかがだったでしょうか。

今回の改正によって、今まで暦年贈与のみ利用していた方も、相続時精算課税制度を利用した方が良いケースが出てくるため、自分ではどちらの方が有利になるのかわからない場合は、専門家に相談することをお勧めします。

 磯会計センターでは、顧問先様に対して、法人税・所得税だけでなく、幅広いご相談を承っております。税金に関してお困りの事等がございましたら、ぜひ一度ご相談ください。

 

(本記事は、掲載時点の税制等に基づき記載しております。)

 

 

 

 

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